盤設計提案事例
before
「保護性能の維持」と「安全な搬入・メンテナンス」という相反する課題
本案件は、重量物であるトランスを収納する大型筐体の製作事例です。トランスは非常に重量があるため、設置やメンテナンスの際にはリフト等を用いた搬送・配置作業が必須となります。
通常、このような重量物を収納する盤では、作業性を考慮して「天井脱着構造」を採用し、上部からクレーン等で吊り下げて搬入するのが一般的です。しかし本件では、内部に設置する冷却ファンのレイアウトや、外部からの湿気・塵埃の侵入を徹底して防ぎたいという「気密性・防水性」の観点から、お客様より「天井部を開口する構造は採用したくない」との強いご要望をいただきました。
そこで、天井を密閉したまま前面から搬入する構造を検討しましたが、以下の構造的な課題が発生しました。
① 重量物の搬入・位置決めの困難さ 天井が開かない構造では、リフトで持ち上げたトランスを筐体の奥まで正確に押し込む必要があります。しかし、限られた開口部から重量物を水平にスライドさせて定位置に固定するのは、作業安全上のリスクが高く、物理的にも極めて困難でした。
② メンテナンス性と底面強度の両立 リフトの爪が干渉せず、かつトランスの荷重に耐えうる底面構造が必要です。単に床に置くだけでは、将来的な交換作業や内部点検の際に、再び重機を深く差し込むスペースが確保できないという問題がありました。
「天井を密閉した状態での防水・防塵性能の維持」と、「重量物に対する高いメンテナンス性」という相反する課題を解決するため、当社にご相談をいただきました。

after
天井開放を不要にする、レールスライド搬入方式へ変更
従来、重量のある内部機器を筐体内部へ搬入する際、天井部を開放して上部から吊り上げるなどの大掛かりな作業が必要となることが課題でした。これらの課題を解決するため、当社が技術提案として採用したのは、筐体底部に「専用レール」を増設する構造への変更です。
通常、天井からの搬入は作業スペースや高さの制限を受けやすく、メンテナンス性にも課題が残ります。そこで、筐体の底面に直接レールパーツを取り付け、機器をそのレールに乗せてスライドさせるだけで搬入できる仕組みとしました。これにより、従来必須であった「天井を空ける」という工程を完全に不要にし、設置場所の制約を受けない効率的な搬入・設置を実現しました。
本事例のように、レールの追加といった構造の工夫を行うことで、筐体自体の基本設計を大きく変えることなく「作業性の劇的な向上」と「設置環境への柔軟な対応」を両立させることができます。搬入経路の確保や、限られたスペースでのメンテナンス効率化でお困りの際は、設計段階から最適な形状をご提案いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

