板金設計・図面制作、板金加工、表面処理(塗装、各種めっき)まで一貫対応

制御盤・電装ボックス 板金設計 製作.com

技術コラム

制御盤の塩害対策のポイントとは?耐塩塗装・屋外用キャビネットの選定基準と設計のポイントを解説!

制御盤に塩害対策が必要な理由とは?

制御盤は、機械や設備を自動制御するための「頭脳」であり、内部にはPLC(シーケンサ)やインバータといった精密な電気機器が収められています 。これらの機器を物理的・環境的リスクから守るのがボックスの役割ですが、沿岸部などの過酷な環境下では「塩害」が最大の脅威となります 。

塩害による劣化に繋がる主な原因は塩分と水分の結合による腐食です。潮風に含まれる塩化ナトリウムなどの粒子が筐体表面に付着し、空気中の水分を吸収すると、電解質溶液として作用します。これにより金属表面で電気化学的な反応が起こり、通常の環境よりも圧倒的に速いスピードで錆が進行します 。

筐体の腐食が進むと、単に見た目が損なわれるだけでなく、盤内部への塩分や水分の侵入を許すことになります。精密機器に塩分が付着すると、絶縁不全やショートを引き起こし、最悪の場合は火災や設備停止を招くリスクがあります。こうしたトラブルは経済的損失に直結するため、設置環境に応じた適切な塩害対策を設計段階から考慮することが必要です。

設置環境による「塩害地域」の区分と選定基準

制御盤の仕様を決定する際、まず行うべきは設置場所の環境評価です。
一般的に「塩害地域」は海岸からの距離によって区分されます。日本工業規格(JIS)や日本電機工業会規格(JEM)では、海岸からの距離や塩分付着量に基づき、大きく「一般地域」「耐塩害地域」「重耐塩害地域」に分けられています 。

目安として、海岸から2km以内が「耐塩害地域」、さらに波しぶきが直接かかるような海岸付近(目安として500m以内)が「重耐塩害地域」とされます。ただし、これらはあくまで指針であり、実際には地形や風向き、季節風の影響を大きく受けます 。例えば、強い潮風が吹き抜ける平坦な土地では、数キロ離れていても塩害リスクが高まるケースがあります。

設計者は、単に地図上の距離だけで判断せず、現地の錆の発生状況や気象データを確認し、適切なIP等級(保護等級)や塗装仕様を選定する必要があります 。早期の劣化を防ぐためには、環境リスクを一段階厳しく見積もり、仕様を検討することがポイントとなります 。

塩害対策に効果的な材質とは?

塩害対策において、筐体自体の材質選定は最も基本的な対策です。主に使用される素材には「スチール」「ステンレス」「アルミ」があり、それぞれ耐食性とコストのバランスが異なります 。

  • ステンレス(SUS304・SUS316): 錆びにくさと強度の両面で最も優れた選択肢です。特にSUS304は、耐食性が高く屋外盤や食品・薬品工場で広く採用されています 。より過酷な環境では、さらに耐食性を高めたSUS316が選ばれることもあります。スチールに比べ高価ですが、長寿命化によるトータルコストの低減が期待できます 。
  • スチール(SPCC・SPHC): 最も一般的で安価な素材ですが、単体では容易に錆びてしまいます 。そのため、塩害地域で使用する場合は、耐塩塗装や重耐塩塗装といった強力な表面処理が必須となります 。
  • アルミ(A5052): 軽量で放熱性・耐食性に優れていますが、大型盤では剛性の確保に工夫が必要です 。

材質選びでは「錆びさせない」という目的だけでなく、盤の目的に合わせて選定することが重要です。

塩害対策としての耐塩塗装とは?

塩害地域向けには、通常の塗装よりも被膜を厚くし、腐食因子を遮断する「耐塩塗装」や「重耐塩塗装」が施されます 。

これらの特殊塗装で重要なのは、塗料の種類だけでなく、「工程」です。塗装前には脱脂や下地処理を徹底し、塗料が金属面に強固に密着するようにします 。
耐塩仕様では、エポキシ樹脂系の下塗りと、耐候性に優れたウレタン樹脂やポリエステル樹脂系の上塗りを重ねる多層構造が一般的です 。

「耐塩塗装」と「重耐塩塗装」の主な違いは、塗膜の合計厚みや塗り重ねの回数の違いです。重耐塩仕様では、より過酷な環境に耐えるため、ミクロン単位で厳格な膜厚管理が行われます 。また、自社内に塗装ブースを持つメーカーであれば、納品先の設備色に合わせた調色や、一点ものへの特殊塗装にも柔軟に対応でき、機能性と意匠性の両立が可能です 。

腐食を防ぎ寿命を延ばす設計段階でのポイント

塩害対策は材質や塗装だけでなく、筐体の構造設計によってもその効果を最大化できます。まず考慮すべき手ポイントは、水や塩分の侵入を防ぐ「保護等級(IP)」の選定です 。

屋外設置では、雨水の侵入を防ぐために「水切り構造」や、扉まわりの「折り返し構造」を採用し、パッキンの気密性を高める設計が一般的です 。また、屋根に傾斜を設けることで雨水や塩分を含んだ水が溜まらないようにし、滞留による腐食リスクを低減させます 。

さらに、内部機器の熱対策として換気口を設ける場合は、塩分を含んだ風が直接入り込まないよう、フィルターの設置や特殊なはめ込み構造にする等の工夫が求められます 。また、隙間からの侵入を防ぐために「袋ナット」を採用したり、各接合部にコーキング処理を施したりすることで、盤全体の密閉性を高めることができます 。

制御盤・電装ボックス 板金設計・製作.com の盤・板金製作事例

① 消雪設備 ステンレス制御盤

こちらは消雪設備用のステンレスの制御盤になります。
消雪設備の盤ですので、屋外に設置を行うため、防水仕様としております。ドアの周りから水が浸入しないように、扉のあたりの内部をおり返し構造にすることで、内部に水が浸入しないようにしております。
>>事例の詳細はこちら

消雪設備ステンレス制御盤

② 変電所設備 高圧盤

こちらは変電所設備用の高圧盤設備です。屋根部分にも工夫をしており、空間があくと屋根が凹むため、屋根を斜めに制作し、耐食性・耐塩性を考慮したポリウレタン塗装です。内部はアングルなどを考慮し、トランスや電子機器を取り付けるためにアングル材をフレーム構造にしています。
>>事例の詳細はこちら

塩害対策を施したオーダーメイドの制御盤の製作なら、
「制御盤・電装ボックス 板金設計・製作.com」にお任せください!

弊社は「板金設計.com」を運営しており、北陸特有の塩害や湿気対策が求められる現場で培った設計ノウハウと、最新の製作設備を融合させた一貫体制がございます。

社内に塗装ブースを保有しており、塩害地域向けの「重耐塩塗装」や、特定の機械色に合わせた調色塗装にも柔軟かつスピーディーに対応可能です 。また、材質についても鉄はもちろん、耐食性に優れたステンレスの加工を得意としており、環境に応じた最適な素材選定が可能です 。

さらに、設計から板金加工、塗装、組立までを自社で一貫対応できるため、一点ものの特注盤であっても、高い品質で短納期対応いたします。パッキンや水切り構造によるIP等級への対応、重量物の搬入を容易にする専用レールの増設など、板金設計のプロとして現場の課題に対し、最適な提案をいたします。

塩害対策を施したオーダーメイドの制御盤の製作でお困りの方はぜひご相談ください。

>>>ご相談・お問い合わせはこちら